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納税予測のやり方は?初めてでもわかる法人税計算の仕組みとポイント

皆様はご自身の会社の法人税額がどのように計算されるか、把握していますか?

納税は資金繰りにも大きく影響するため、1年間の大体の利益の着地が分かった段階で、今期の納税金額がどのくらいになるのか気になる経営者も多いはずです。
よくある納税予測のやり方として、会計上の当期純利益に法人税率をかける方法があげられますが、実はここに落とし穴があります。
会計上の「当期純利益」と、法人税を計算する際の「所得金額」というものは、計算のルールが異なるため一致しないことがほとんどなのです。

今回は、そのズレの正体と、法人税計算の全体像について現役税理士が分かりやすく解説します。
法人税の計算の全体像を理解することで、より正確な納税予測にお役立てください!

会計上の「当期純利益」と税務上の「所得金額」はなぜ違うのか

会計上の「当期純利益」と税務上の「所得金額」の計算ルールが違う理由は、その計算目的が異なることからです。
会計(決算)の目的は、株主や銀行などの利害関係者に「会社の正しい経営成績」を伝えることです。一方で、税務(確定申告)の目的は「公平に正しく課税すること」にあります。
この目的の違いがあるため、会計上の「収益 - 費用 = 利益」という計算と、税務上の「益金 - 損金 = 所得」という計算では、ルールの細部が異なります。

法人税を算出するための基本的な算式

法人税の計算は、ざっくりと以下の流れで行われます。

  1. 所得金額(法人税計算上の利益) = 益金 - 損金

  2. 法人税額 = 所得金額 × 法人税率 - 税額控除額
    まずは「所得金額」を正しく導き出すことが、計算のスタート地点となります。


実務上、所得金額を導くにあたってのスタート地点は会計上の当期純利益です。
当期純利益から、会計上は収益・費用として計上されたものの、税務上の益金・損金とはならないものを調整することで、所得金額を算出します。

収入のうち益金にならないもの(受取配当金など)

会計上は「収益」として計上しても、税務上は「益金」に含めないものがあります。これを「益金不算入」と呼びます。 例えば、受取配当金の一部などは、二重課税を防ぐ観点から、税務上の所得金額にはカウントしないといった調整(収益に入っているので、減らす調整)が行われます。

費用のうち損金にならないもの(交際費や役員賞与など)

会計上は「費用」として処理しても、税務上は「損金」として認められないものがあります。これを「損金不算入」と呼びます。 代表的なものには、一定の限度額を超えた「交際費」や、事前に届出をしていない「役員賞与」、さらには法人税の支払いそのものなどが含まれます。これらは税務上の所得金額の計算上、費用に入っているものを除く調整(費用に入ることで利益が減っているので、増やす調整)が行われます。


法人税の計算は以下のStep1~Step3で計算することになります。

Step1:所得金額の計算(加算調整と減算調整)

上述した通り、実務では決算書の「当期純利益」を出発点として、そこに調整を加えて「所得金額」を求めます。
具体的には以下の①~④のステップで求められます。

①スタート:会計上の「当期純利益」
加算調整:会計上の費用だけど損金にならないもの(例:交際費の限度超過分)を集計する。
③減算調整:会計上の収益だけど益金にならないもの(例:受取配当金の不算入分)を集計する。
④所得金額:①+②-


※この②と③のプロセスを「申告調整」といい、法人税申告書の「別表四」という書類で計算されます。

Step2:所得金額に法人税の税率をかける

所得金額を求め終えたら、その所得金額に税率をかけます。
法人税率は法人の種類・規模や所得金額によって多少異なりますが、多くの中小企業では以下の税率になります。
・年800万円までの所得金額:15%
・年800万円超の所得金額:23.2%

例えば、所得金額が1,000万円の場合は、
800万円×15%+(1,000万円-800万円)×23.2%= 1,664,000円
と計算します。

Step3:税額控除

ここでは詳細は割愛しますが、賃上げ促進税制や研究開発税制など、法人税から控除することができる税額控除額がある場合には、Step2で計算した金額から引くことができます。
そして、この税額控除額を引いた後の金額が、年間の法人税額となります。

おまけ:税務上と会計上のルールを分ける理由(課税の公平性)

上述した通り、税務の目的は「課税の公平性」にあります。もし、すべての「費用」を無制限に認めると、会社が自由に利益を減らして税金を安くすることができてしまいます。
例えば、役員の給料を決算直前に増やして利益を調整する、といった行為を防ぐために、税法では厳格なルールを設けて課税の公平性を保っているのです。


  • 会計上の当期純利益と税務上の所得金額は別物。

  • 法人税は「所得金額」に税率をかけて計算する。

  • 当期純利益から所得金額を求めるには、益金・損金の調整(申告調整)が必要。

より正確な納税予測をするためには、会計上の利益金額だけでなく、税務上の益金と損金を把握する必要があります。
ご注意: 個別具体的な税務判断については、会社の状況によって異なる場合があります。詳細は当事務所、またはお近くの税理士へご相談ください。


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プリズム会計事務所の代表税理士。ITに強い税理士を目指し、基本情報技術者試験にも合格している。趣味はゲーム。 経営者が安心して経営に集中できる環境作りを全力でサポートします!

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