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【創業時必見】法人設立時の消費税は「免税事業者」と「課税事業者」どっちが得?判断基準を税理士がわかりやすく解説!

2026.06.03

こんにちは!墨田区、府中市・調布市を中心に活動している税理士の髙橋優介です。

新しく会社(法人)を設立する際、誰もが一度は悩むのが「消費税の免税事業者と課税事業者のどちらを選ぶべきか」という問題です。

「インボイスに登録しないと取引先に迷惑がかかる?」「でも、最初から消費税を払うのは資金繰りがキツい……」

そんな不安を抱える経営者様や経理担当者様に向けて、どちらを選ぶべきかの判断ポイントをシミュレーション付きでスッキリ解説します!

まずは、インボイス制度を脇に置いて、従来の消費税の基本的なルールをおさらいしておきましょう。

消費税計算の基本は、預かった消費税-支払った消費税

会社は原則的に以下の算式によって計算した消費税を国に納税する必要があります。

①:売上に係る消費税(顧客から預かった消費税
②:仕入に係る消費税(取引先に支払った消費税
③:①-②=国に納付すべき消費税(マイナスの場合は還付を受けられる)

ただし、すべての会社に消費税の納税義務があるわけではなく、消費税の納税義務が免除される、つまり上記③の消費税を国に納税しなくてもよいケースがあります。

原則は「設立後2年間」が消費税免税になるメリット

消費税は通常、2年前(前々事業年度)の売上高が1,000万円を超えているかどうかで、国に納める必要があるか(課税事業者)、免除されるか(免税事業者)が決まります。

新しく設立した法人の場合、当然2年前の売上実績はありません。そのため、「最初の2期(第1期と第2期)は原則として消費税が免税になる」という非常に大きな優遇措置があります。軍資金が限られているスタートアップ期において、売上にかかる消費税をそのまま手元に残せる(=益税(えきぜい)効果)のは、資金繰りの面で強力な味方でした。

資本金1,000万円以上の場合は初年度から課税される注意点

ただし、この免税メリットが受けられない例外がいくつかあります。代表的なものが「設立時の資本金(または出資金額)が1,000万円以上」の場合です。この条件に該当すると、設立1期目から自動的に課税事業者になります。したがって実務上は、設立初年度は資金調達などの都合でどうしても1,000万円以上必要な場合を除き、「1000万円未満」でスタートする事業者がほとんどです。

※この他にも、1期目の前半6ヶ月(特定期間)の給与支払額と売上高がともに1,000万円を超えると2期目から課税されるルールもあるため、事前のシミュレーションが欠かせません。

インボイス制度(適格請求書保存方式)が始まってからは、上記の「2年間免税」のメリットを自ら手放し、設立1期目から「あえて課税事業者(インボイス登録店)」になる企業が急増しています。それはなぜでしょうか。
ケース①が従来からの事例、ケース②がインボイス制度を契機として増えた事例です。

ケース①:設立当初に大きな設備投資や物件の購入がある場合

店舗の内装工事、高額な機材の購入など、設立当初に多額の投資を行う場合も、あえて課税事業者を選ぶメリットがあります。

売上にかかる消費税よりも、設備投資で支払った消費税の方が多くなった場合、課税事業者(かつ原則課税を選択)であれば、払いすぎた消費税を国から返してもらう(還付を受ける)ことができるからです。免税事業者のままだと、どれだけ赤字で消費税を多く支払っていても、1円も返ってきません。

ケース②:BtoB(企業間取引)がメインで顧客が仕入税額控除を求める場合

自社の主な顧客が「消費税を納めている企業(課税事業者)」である場合、インボイスの登録をしたほうが事業のメリットがあると言えます。

なぜなら、免税事業者のままだと、取引先はあなたに支払った消費税を差し引いて計算すること(仕入税額控除)ができず、取引先の消費税負担が増えてしまうからです。その結果、「他のインボイス登録企業に乗り換えられる」、あるいは「消費税分の値下げ交渉をされる(※)」といった、営業上の大きなリスクを背負うことになります。

※一方的かつ強制的な値下げ要求は下請法や独禁法上の問題になる恐れがあります。

一方で、インボイス制度がスタートした現在でも、従来通り「2年間の免税メリット」をフルに活かせる企業もあります。

主な顧客が一般消費者(BtoC)のビジネスモデル

お客様が「会社」ではなく「一般の生活者(消費者)」であるビジネスの場合、基本的には免税事業者のままで問題ありません。

  • 美容室やネイルサロン

  • 一般向けの飲食店やカフェ

  • 学習塾や個人向けのスクール

一般消費者は、自分が納める消費税の計算(仕入税額控除)を行う必要がないため、あなたのお店がインボイスを発行できなくても一切困りません。そのため、客足や売上に影響が出る可能性は極めて低いです。

取引先が免税事業者、またはインボイスを求めない企業である場合

BtoB(企業間取引)であっても、取引相手が「免税事業者」や「簡易課税(消費税の簡単な計算方法)を選択している企業」であれば、インボイスを求められません。また、取引先の企業が「免税事業者のままでいいよ」と公に容認してくれている場合も、無理に課税事業者になる必要はありません。

イメージが湧きやすいよう、店舗販売を行うBtoCビジネス(設備投資によるキャッシュアウト先行)を想定した簡単な計算をしてみましょう。
※2割特例は終了を予定されていることから、あえて2割特例を使わずに計算しています。

【シミュレーションの前提条件】

設立1期目の売上(税抜) 500万円
経費(税抜) 200万円
設備投資(税抜) 800万円         

パターンA:インボイスに登録して「課税事業者」になる

お客様からの入金(税込) 550万円
経費の支払(税込) 220万円
設備投資の支払い(税込) 880万円
納める消費税
50万円 - (20万円 +80万円)
△50万円
(還付)
手元に残るお金:550万円 -     
220万円 - 880万円 + 50万円    
△500万円

パターンB:免税事業者のままでいる

お客様からの入金(税込) 550万円
経費の支払(税込) 220万円
設備投資の支払い(税込) 880万円
納める消費税
(免税事業者のため無し)
0円
手元に残るお金
550万円 - 220万円 - 880万円  
△550万円

比較結果

パターンA:△500万円
パターンB:△550万円
∴パターンAが有利

このシミュレーションでは、インボイスに登録して消費税を50万円の還付を受けた(パターンA)ほうが、手元に50万円も多くお金が残るという結果になりました。しかしこのシミュレーションには大きな落とし穴があります。

2期目の売上まで考慮してシミュレーションをしてみると

先ほどのシミュレーションの続きとして、2期目に事業が軌道に乗り、大きく売り上げを伸ばした想定(売上・経費がともに倍増)で計算してみましょう。

【シミュレーションの前提条件】

2期目の売上(税抜) 1,000万円
経費(税抜) 400万円
設備投資(税抜) 無し          

パターンA:課税事業者

お客様からの入金(税込) 1,100万円 
経費の支払(税込) 440万円
納める消費税
100万円 - 40万円
60万円
(納税)
手元に残るお金
1,100万円 - 440万円 - 60万円
600万円
1期目2期目合計
△500万円 + 600万円
100万円

パターンB:免税事業者

お客様からの入金(税込) 1,100万円
経費の支払(税込) 440万円
納める消費税
(免税事業者のため無し)
0円
手元に残るお金
1,100万円 - 440万円               
660万円  
1期目2期目合計
△550万円 + 660万円         
110万円 

比較結果

パターンA:100万円
パターンB:110万円
∴パターンBが有利

2期目まで考慮したシミュレーションでは一転して、インボイスに登録せずに免税事業者でいる(パターンB)ほうが、手元に10万円多くお金が残るという結果になりました。消費税のシミュレーションでは設立時だけではなく、2期目までの売上・仕入のシミュレーションをどれだけ正確にできるかどうかで、結果が大きく変わってきますので、慎重に検討する必要があります。

自社がどちらを選ぶべきか、以下のチェックリストを上から順番に確認してみてください。

  • Q1. 主なお客様(売上の大半)は誰ですか?
    → 一般消費者・免税事業者なら 【Q3】 の検討へ
    → 課税事業者(一般企業など)なら 【Q2】

  • Q2. インボイスを登録しないと、失注や値下げのリスクがありますか?
    → リスクが低い(他社に代えがきかない独自の強みがある等)なら 【Q3】 の検討へ
    → リスクが高い(ライバルが多く、すぐ切り替えられる等)なら 【課税またはQ3】 の検討へ

  • Q3. 設立当初に大きな設備投資(数百万円〜)や赤字の予定はありますか?
    → ある(消費税の還付を受けられる可能性がある)なら 【課税(原則課税)またはQ4へ】 の検討へ
    → ないなら 【免税】の検討 へ

  • Q4. 2期目以降の売上が大幅に増加する可能性はありますか?
    → あるなら 【1期目の消費税の還付額と2期目の消費税の納税額の比較】 の検討へ
    → ないなら 消費税の還付を受けるために【課税(原則課税)】の検討 へ

インボイス制度への登録を促すため、「本来免税事業者だけど、インボイス登録のために課税事業者になった場合、納める消費税は売上消費税の2割だけでいいよ」という非常にありがたい激変緩和措置(2割特例)がありました。

先ほどのシミュレーションの2期目を例にすると、

お客様からの入金(税込) 1,100万円
経費の支払(税込) 440万円
納める消費税
100万円 × 20%
20万円
(納税)
手元に残るお金
1,100万円 - 440万円 - 20万円
640万円   

しかし、この特例の対象期間は「2026年9月30日を含む課税期間」までと決められており、それ以降は特例が完全に終了してしまうのでシミュレーションを行う際は注意が必要です。

法人設立時の「免税か、課税か」の判断ポイントを振り返りましょう。

  1. 従来の「2年間免税」ルールは今も健在だが、インボイス制度の影響を必ず考慮する。

  2. お客様が「一般消費者」なら免税のメリットを最優先、お客様が「企業(BtoB)」なら課税事業者(インボイス登録)も前向きに検討する。

  3. 設立直後に多額の設備投資を行う場合は、課税事業者になることで消費税が戻ってくる(還付)可能性がある。

  4. 設立1期目だけでなく、2期目も想定したシミュレーションを行う必要がある。

当事務所はスタートアップへの支援実績が豊富な会計事務所です。設立時の設立時に必要な税務手続き、消費税のシミュレーションなどでお困りの際は、お気軽にご相談ください!(初回相談無料)

【個別具体的な税務判断についての注意点】
消費税の計算は近年の度重なる税制改正の影響で非常に複雑になっています。また、必要な届出やその提出時期も厳格に定められているため、これらを怠ると想定していた計算方法を採用することができなくなり、納税負担がシミュレーションと大きく異なることになります。消費税のシミュレーションをご検討の際は当事務所、またはお近くの税理士へご相談ください。

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    プリズム会計事務所の代表税理士。ITに強い税理士を目指し、基本情報技術者試験にも合格している。趣味はゲーム。 経営者が安心して経営に集中できる環境作りを全力でサポートします!

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