【完全保存版】法人設立の流れと手続き完全ガイド!税務・法務・労務の手続きからシミュレーションのポイント解説まで

はじめに
こんにちは!墨田区周辺・府中市周辺を中心にスタートアップの企業を支援している税理士の髙橋優介です。
「いよいよ会社を設立するぞ!」と決意された皆様、本当におめでとうございます。人生最大の決断を経て、やりたいこと、成し遂げたいことがどんどん浮かんできて、明るい未来への期待に胸が膨らみますね!
一方でその熱い想いとは裏腹に、法人設立には税務署や法務局、年金事務所などへの膨大な手続きが待ち受けており、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。手続き・準備する書類が多すぎて、「どの書類を、いつ、どこに出せばいいのか」を整理しきれませんよね。
この記事では、法人設立の前から設立直後までに必要な法務・税務・労務の手続きを以下のSTEPに沿って分かりやすく解説いたします。
勇気ある一歩を踏み出した皆様の法人設立手続きに少しでも貢献できれば幸いです。
【STEP 0】設立前:会社の骨格と「4つの重要シミュレーション」
【STEP 1】設立時:公証役場・法務局で行う「法務手続き」
【STEP 2】設立直後:税務署・自治体へ提出する「税務手続き」
【STEP 3】設立直後:年金事務所・労基署・ハローワークでの「労務手続き」
【STEP 0】設立前:会社の骨格と「4つの重要シミュレーション」
法人を設立する前に、会社の骨格を決める必要があります。ここで決めた内容が今後の税金や資金繰りに大きく影響するため、事前のシミュレーションが非常に重要です。
基本事項の決定
まず最初に会社の基本的な事項を決めていきます。商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金額、発行株式数、事業年度、役員構成などを決めます。この段階で類似商号の確認や、事業目的に許認可が必要な業種が含まれないかもチェックしたほうが安全です。
シミュレーション①:資本金の決定(消費税や地方税均等割への影響)
資本金は「会社の体力」を示すものであり、主には社会的信用度、融資・与信審査に影響がありますが、金額によって税負担が変わることがあるため注意が必要です。
- 消費税の免税
資本金が1,000万円未満であれば設立から2年間は原則として消費税が免税となります。 - 地方税の均等割
赤字でも支払う必要がある「均等割」は、資本金1,000万円以下(かつ従業員50人以下)なら最低額の年間7万円に抑えることができます。
この他にも許認可が必要な業種の場合には、資本金が一定水準必要な場合もありますので、慎重に決めるようにしましょう。
シミュレーション②:役員報酬の金額設定(税金・社会保険料・手取りの最適化)
役員報酬は原則として事業年度開始から3か月以内に決定し、その後1年間は定額にする必要があります(定期同額給与)。役員個人の「所得税・住民税」、会社と個人で折半する「社会保険料」、会社の「法人税」のバランスを考慮し、個人の手取り額と会社の利益が最適になる金額をシミュレーションしましょう。
また、役員に対して賞与を支払いたい場合には、設立から2か月以内に事前確定届出書を税務署に提出する必要があります。もしも提出を失念していた場合は、役員に対して賞与を支払ったとしても会社の経費にはならないため、注意が必要です。
シミュレーション③:決算期(事業年度)の設定(繁忙期・資金繰り・免税期間の最大化)
決算月は自由に決められるため、忙しさ・資金繰りの観点から決算月を決めることが一般的です。
例えば、決算月は自社の経理作業も忙しくなることが多いため、自社の売上のピーク(繁忙期)と決算月をずらすことで、余裕を持った決算・申告作業が可能になります。
また、決算日から2か月以内に納税しなければならないため、資金繰りに余裕がある月に納税ができるよう逆算して決算月を決めるパターンもあります。
この他にも、先述の消費税免税の恩恵を最大限に受けるため、設立月から最も遠い月(丸々12か月間)を決算月に設定する方法があります。
シミュレーション④:消費税の届出選択(免税事業者・インボイス登録・原則課税・簡易課税の判定)
資本金1,000万円未満で設立し消費税が免税となる場合であっても、多額の設備投資等があり消費税の還付を受けようとする場合は、課税事業者を選択する必要があります(課税事業者でないと還付は受けられません)。免税によるいわゆる益税を取るか、設備投資による還付額を取るか、いずれが有利となるか判断するためには2~3期分の売上や仕入の予測をもとにシミュレーションを行わなければなりません。また事業内容がB to B取引の場合は、取引先の要望により「インボイス発行事業者」として登録する必要が出てくるかもしれません。自社の取引先の属性(B to B取引か、B to C取引か)にも注意を払つつ、慎重に検討する必要があります。
また消費税の計算方法は「原則課税」のほかに、一定の場合には「簡易課税」を選択することもできます。これについてもどちらの計算方法が有利となるかを事前に検討しておくことが不可欠です。
法人設立時の免税事業者と課税事業者の有利判定については、以下の記事に詳細を記載しておりますので、ご興味ある方は是非確認してみてください。
【創業時必見】法人設立時の消費税は「免税事業者」と「課税事業者」どっちが得?判断基準を税理士がわかりやすく解説!
【STEP 1】設立時:公証役場・法務局で行う「法務手続き」
会社の骨格(ルール)が決まったら、いよいよ設立の手続きに入ります。
ここでは 株式会社 を前提に説明いたします。
1. 定款の作成と公証人による認証(※公証役場)
会社の基本規則である「定款(ていかん)」を作成します。絶対的記載事項(商号・目的・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額・発起人の氏名等)を漏れなく記載しましょう。
従来、定款は書面による「紙定款」が一般的でしたが、近年は「電子定款」、つまりPCなどで電子ファイル形式(PDF)として作成することで収入印紙代(4万円)を節約することができます。
定款作成後は、株式会社の場合は公証役場での「定款の認証」が必要です。認証に係る手数料は資本金や諸条件によって、1万5千円~5万円となります。
2. 資本金(出資金)の払い込みと払込証明書の作成
定款の認証が終わったら、発起人(出資者)の個人口座へ資本金を振り込みます。通帳のコピー(表紙、裏表紙、振込明細ページ)またはWeb上の入出金明細のコピー(銀行名/支店名/口座番号/通帳の名義人/払込金の入出金明細ページ)をまとめ、「払込証明書」を作成して製本します。
3. 設立登記申請書・登録免許税の納付(※法務局)
定款や払込証明書などの必要書類を揃え、本店所在地を管轄する法務局へ「設立登記」を申請します。申請は窓口のみならず、郵送・オンラインでも可能となります。この登記申請日が「会社設立日(創立記念日)」となります。
申請とあわせて登録免許税(株式会社は最低15万円)の納付も必要となります。この登録免許税は自治体による創業支援制度を活用することで、半額(最低7.5万円)になりますので、詳しくは創業しようとしている自治体のHP等をご確認ください。
なお、登記申請から完了までは通常1週間~2週間程度かかります。
4. 印鑑届出書・印鑑カード交付申請書
登記申請と同時に、会社の実印を法務局へ登録する「印鑑届出書」を提出します。登記完了後には、銀行口座開設等で使用する印鑑証明書を取得するために必要な「印鑑カード交付申請書」を提出してカードを受け取りましょう。
【STEP 2】設立直後:税務署・自治体へ提出する「税務手続き」
登記が完了し、法人の登記事項証明書(登記簿謄本)が取得できるようになったら、各役所へ届出書を提出します。まずは税務署と自治体(都道府県・市区町村)の手続きです。これらの届出書には添付書類として定款や登記簿謄本を求められる場合があります。
1. 税務署(国税)へ提出する基本書類
すべての法人が原則として提出すべき書類です。
- 法人設立届出書
会社を設立した旨を報告する書類(提出期限:設立から2か月以内)。
国税庁:C1-4 内国普通法人等の設立の届出 - 青色申告の承認申請書
赤字の繰越しなど、税務上の様々なメリットを受けるために必須です(提出期限:設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで)。
国税庁:C1-19 青色申告書の承認の申請 - 給与支払事務所等の開設届出書
役員や従業員に給与を支払う事務所を設置した旨の届出(提出期限:設立・開設から1か月以内)。
国税庁:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
なお、上記の申請書・届出書と下記の源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書については、2027年1月以降からは「青色申告の承認申請書 兼 法人設立届出書」という新しい様式が用意されています。今まで複数枚の届出書・申請書の提出が必要だったところ、まとめて1枚の書類提出で済むように簡素化される予定です。
国税庁:青色申告の承認申請書 兼 法人設立届出書
2. 税務署(国税)へ状況に応じて提出する書類
事業の状況や選択する制度によって提出が必要となる書類です。
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則として会社が給与等から徴収した源泉所得税は毎月納付する必要がありますが、従業員数が10人未満の場合は、毎月納付する源泉所得税を年2回(7月・1月)にまとめることができる便利な制度です(提出期限:原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用)。
国税庁:A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請 - 棚卸資産の評価方法の届出書
在庫の評価方法を法定の評価方法以外の評価方法にしたい場合に提出します(提出期限:設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限まで)。
国税庁:C1-25 棚卸資産の評価方法の届出 - 減価償却資産の償却方法の届出書
設備などの減価償却方法を法定の償却方法以外の償却方法にしたい場合に提出します(提出期限:設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限まで)。
国税庁:C1-33 減価償却資産の償却方法の届出 - 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書
有価証券の帳簿価額の算出方法を法定の算出方法以外の算出方法にしたい場合に提出します(提出期限:有価証券を取得した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで)。
国税庁:C1-27 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出 - 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書
法人税の申告期限(通常、事業年度終了の日の翌日から2月以内)を延長したい場合に提出します(提出期限:適用を受けようとする事業年度終了の日まで)。
国税庁:C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請 - 事前確定届出給与に関する届出書
役員に対して賞与を支払いたい場合に提出します(提出期限:設立の日以後2か月を経過する日まで)。
国税庁:C1-23 事前確定届出給与に関する届出 - 適格請求書発行事業者の登録申請書
インボイス制度の登録を受ける場合に提出します(提出期限:設立後、その事業年度(厳密には課税期間)の末日まで)。
国税庁:D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続 - 消費税課税事業者選択届出書
免税事業者であっても、あえて課税事業者になりたい(輸出業で還付を受けたい等)場合に提出します(提出期限:設立第1期の事業年度(厳密には課税期間)中)。
国税庁:D1-4 消費税課税事業者選択届出手続
※インボイス制度は課税事業者であることを前提としているため、2029年9月30日までの日の属する事業年度(厳密には課税期間)中にインボイス登録を受ける場合には、登録申請書に「課税期間の初日から登録を受けようとする旨」を記載することにより、消費税課税事業者選択届出書の提出を要せずに課税事業者となることができます。 - 消費税簡易課税制度選択届出書
消費税の計算方法について「簡易課税」を選択する場合に提出します(提出期限:設立第1期の事業年度(厳密には課税期間)中)。
国税庁:D1-22 消費税簡易課税制度選択届出手続
※人件費割合が高い場合などは「原則課税」よりも「簡易課税」を選択したほうが有利になるケースがあります。 - 消費税申告期限延長届出書
法人税の申告期限を延長している場合に消費税の申告期限についても延長したい場合に提出します(提出期限:適用を受けようとする事業年度終了の日(厳密には事業年度終了の日の属する課税期間の末日)まで)。
国税庁:D1-2 消費税申告期限延長届出手続
3. 都道府県・市区町村(地方税)へ提出する届出書
すべての法人が原則として提出すべき書類です。以下、東京都23区のみに事業所を設置した場合を例に記載しておりますが、実際には所在地の自治体HP等をご確認ください。
- 法人設立・設置届出書(都道府県税事務所・市区町村役場)
会社を設立した旨を報告する書類(提出期限:都税事務所の場合は事業を開始した日から15日以内、条例による)。
東京都主税局:法人設立・設置届出書(PDF版)
※東京23区の場合は都税事務所への提出のみで完結します。
4. 都道府県・市区町村(地方税)へ状況に応じて提出する書類
事業の状況や選択する制度によって提出が必要となる書類です。
- 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書(都道府県税事務所)
地方税についても延長したい場合に提出します(提出期限:適用を受けようとする事業年度終了の日まで)。
東京都主税局:申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書
【STEP 3】設立直後:年金事務所・労基署・ハローワークでの「労務手続き」
役員報酬が発生する、あるいは従業員を雇用する場合には、社会保険や労働保険の手続きが必要です。
1. 年金事務所(社会保険)へ提出する書類
法人は、社長1人(役員報酬あり)であっても社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられています。
- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
会社として社会保険に加入するための書類(提出期限:設立から5日以内)。
日本年金機構:健康保険・厚生年金保険 新規適用届 - 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
役員や従業員が社会保険に加入するための書類(提出期限:設立から5日以内)。
日本年金機構:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 - 被扶養者(異動)届
社会保険の被保険者となった者に扶養者がいる場合に提出します(提出期限:設立から5日以内)。
日本年金機構:被扶養者(異動)届
2. 労働基準監督署(労災保険)へ提出する書類
従業員(アルバイト・パート含む)を1人でも雇用した場合は、労災保険の手続きが必要です(※社長や役員のみの場合は原則不要です)。
- 労働保険関係成立届
労働保険が成立した旨の届出(提出期限:保険関係が成立した日の翌日から10日以内)。
※ネットからダウンロードできないため、労働基準監督署で取得する必要があります。 - 労働保険 概算保険料申告書
今年度の概算保険料を申告・納付します(提出期限:保険関係が成立した日の翌日から50日以内)。
※ネットからダウンロードできないため、労働基準監督署で取得する必要があります。 - 適用事業報告・就業規則届
従業員を雇用した場合や、常時10人以上雇用した場合に提出します(提出期限:速やかに)。
厚生労働省:労働基準監督署に申請または届出する場合に使う様式
3. ハローワーク(雇用保険)へ提出する書類
労災保険の手続き後、雇用保険についても一定の条件に該当する従業員を1人でも雇用した場合は、手続きが必要です(※社長や役員のみの場合は原則不要です)。
なおハローワークでの手続きは、上記2の労働基準監督署の手続きよりも後に行う必要があるため、注意が必要です。
- 雇用保険適用事業所設置届
会社として雇用保険に加入するための届出(提出期限:雇用した日の翌日から10日以内)。
ハローワーク:雇用保険適用事業所設置届 - 雇用保険被保険者資格取得届
従業員ごとに雇用保険に加入するための書類(提出期限:雇用した月の翌月10日まで)。
ハローワーク:雇用保険被保険者資格取得届
まとめ
- 法人設立は「事前シミュレーション」「法務」「税務」「労務」の4ステップで進めましょう。
- 特に「資本金」「役員報酬」「決算期」「消費税(インボイス)」の事前検討は、今後の資金繰りや税負担を左右する重要なポイントです。
- 各役所へ提出する届出書には提出期限があるため、登記完了後は速やかに手続きを進めることが大切です。
なお、各種届出の要件や税制に関する個別具体的な税務判断は、事業内容や状況によって異なるため、当事務所またはお近くの税理士などの専門家へご相談いただくことをおすすめします。
また、設立前に十分なシミュレーションを行わずに進めてしまうと、後から「思わぬ税負担が発生してしまった…」と後悔するケースも少なくありません。近年はAIの普及によりご自身で試算される方も増えていますが、今日の複雑な税制においては、AIが誤ったシミュレーション結果をあたかも正しいもののように提示してしまうリスクがございます。
法人設立という勇気ある大きな第一歩。大切な事業のスタートで後悔が残らぬよう、ぜひプロの知恵をご活用ください。
当事務所では、これまで50社以上の法人設立をサポートしてきた代表税理士が、初回無料にてご相談を承っております。「手続きが多くて不安」「税金面で損をしたくない」という方は、ぜひページ下部のお問い合わせボタンよりお気軽にご連絡ください。
参照URL
- 国税庁:新設法人の届出書類
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm - 国税庁:インボイス制度 特設サイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm - 東京都主税局:事業を始めたとき・廃止したとき
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/business - 日本年金機構:新規適用の手続き
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150311.html - 厚生労働省:労働保険の成立手続
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm
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